こころ天気になあれ

マンションで一人暮らしの私は、人恋しくなると散歩に出ます。歩くのは昔ながらの民家が並ぶ狭い路地で、時間帯は夕方。開いた窓から大相撲のナレーションが聞こえてきたり、サンマを焼く匂いが漂ってきたり、それぞれの暮らしを垣間見ることができるからです。

 

夕方でも特に好きなのは夏の土曜日でしょうか。

日に焼けて部活から帰ってきた子どもたちが「バイバ-イ!」と手を振りながら、それぞれの家に入っていくのを見たとき。

明日のドライブのために、マイカーを洗うお父さんがホースから飛ばす水しぶきに、虹の輪が浮かんでいるのを見たとき。

ご飯の支度ができたと呼びにきたお母さんが、「明日はいいお天気よ!」と赤い夕焼けを指差すのを見たとき。

日本書紀に載っている仁徳天皇のエピソード「高き屋に登りて見れば煙立つ 民のかまどはにぎはひにけり」を連想してしまう、平凡で平和な夕方が嬉しくて懐かしいのです。

 

 

「こころ天気になあれ」は、N児(NHK東京児童合唱団)の子どもたちに向けて、定期演奏会用に書き下ろした歌。最初は門外不出でしたが、音楽之友社の楽譜集に載ってからは小学校の合唱コンクールなどで使われるようになりました。試合に負けて帰ってくる野球少年が主人公。泣きたい気持ちでいっぱいだけど、家には灯りがともり、お母さんが煮込むカレーの匂いがする・・といった風景を詞にしました。平成が令和になって時代は変わろうと、ジャガイモがごろごろしたおうちカレーは子どもたちの永遠のご馳走です。

 

 

「こころ天気になあれ」

今日の試合は 三振ばかり
バットをかついだ 帰り道
影もしょんぼり ついてくるよ
下校のチャイムの 放課後を

まぶたがくもり空 泣きそうなときには
元気がわいてくる 願いをかけるよ
ぼくのこころ きっときっと あした天気になあれ
ぼくのこころ きっときっと あした天気になあれ

ほほのすり傷 ケンカのあとは
勝っても帰れば 怒られる
だけどいちばん 心配なのは
あしたはできるか 仲直り

まぶたがくもり空 泣きそうなときには
元気がわいてくる 願いをかけるよ
ぼくのこころ きっときっと あした天気になあれ
ぼくのこころ きっときっと あした天気になあれ

だれかの声がした ぼくのあだ名を呼んで
友だちの声がした 遊ぼうあしたの朝も

だれかの声がした はやく帰っておいで
かあさんの声がした 窓にあかりがともる

ぼくのこころ きっときっと あした天気になあれ
ぼくのこころ きっときっと あした天気になあれ

©Copyright 織田ゆり子

 

Youtubeを探したら、2014年 第81回全国学校音楽コンクールで、福島県南会津町立南郷小学校の子どもたちが歌った2部合唱がありましたのでお借りします。作曲の上柴はじめさんが素晴らしいサビを作ってくれて、詞を書いた本人も涙が出てしまいます。