角地

間抜けな寸借詐欺師のおいしい置き土産

引き戸

幼稚園時代を過ごした六角橋の借家は十字路の角にあり、今思えば泥棒が入りやすそうな隙だらけの家だった。留守番をする祖母と私はいつも茶の間から往来を眺めていたけれど、向こうからもこちらが丸見え。働きづくめだった父母の帰りは夜遅いので、年寄りと子どもしか住んでいない不用心な家に見えたことだろう。愛媛の穏やかな地から引越してきた私たちには分からない都会の盲点だ。   ある晩、玄関の引き戸がガラガ […]