セレブ育ちのオジサマから卒業して実家に引越し
「今度、遊びに行っていい? 君の子どもにも会いたいし」 セレブ育ちのプロデューサーが恋人になって、週末はいつも都内ホテルのスウィートルーム。夢心地のデートを繰り返しているうちに、彼が私の住まいを見に来ることになった。父から借りている目黒区碑文谷のマンションで、畳敷きの薄暗い2DKに案内するのは恥ずかしい。それでも丁寧に掃除をして花を生け、息子と一緒にお出迎えをした。 保育園に通ってい […]
「今度、遊びに行っていい? 君の子どもにも会いたいし」 セレブ育ちのプロデューサーが恋人になって、週末はいつも都内ホテルのスウィートルーム。夢心地のデートを繰り返しているうちに、彼が私の住まいを見に来ることになった。父から借りている目黒区碑文谷のマンションで、畳敷きの薄暗い2DKに案内するのは恥ずかしい。それでも丁寧に掃除をして花を生け、息子と一緒にお出迎えをした。 保育園に通ってい […]
同棲相手と別れ、父の所有しているマンションに引っ越してきた目黒区碑文谷での暮らしは、すさんで最低だった自分を立て直すための規則正しい毎日だった。自由が丘からの引越しブルーはすっ飛んで、交通の便がいい目黒通り沿いなのを喜んだ。朝は息子を保育園に連れていき、TOKYO FMの収録に出かける時間までは原稿用紙に台本を書く。スタジオ入りの1時間前に家を出て、近くに借りていた駐車場から、これまた父に与えても […]
引越しのときに捨てて後悔しているのは、昔のレコードだ。プレイヤーも捨てたのだから聴けないのだけれど、中古レコードが高く売買される今、お宝が相当あったはず。取り返しのつかないものほどブルーな気分になる。 それでも記念に取っておいたレコードは数枚ある。いちばん思い出が深いのは、加山雄三さんの1986年リリースのアルバム「はるかな未来へ」だ。1976年に「海その愛」で復活した加山さんがすっ […]
自由が丘での同棲を解消し、5歳の息子を連れて引越したのが目黒区碑文谷のマンション。目黒通りから少し入ったところにあり、ダイエーの大型店舗まで歩いて5分だった。すずめのお宿緑地公園やサレジオ教会といった名所も近く、静かで緑の多い環境はボロボロになっていた心を癒してくれる。 何より嬉しかったのは、好き勝手にインテリアをいじれること。父の愛人が置いていった洋服ダンスやドレッサーといった家具 […]
子どもが2歳になる前に、私は生活のほとんどを南馬込のマンションから、実家の鎌倉市七里ガ浜に移した。目黒にある父の会社で夫は働いていたけれど、仕事や上司に対する不平不満をネチネチ言われたくないのが大きな要因だった。あとは「マタニティブルーを解消したのは育児書よりも祖母の豊富な経験」に書いたように、週末になると義父母の家に入り浸るワンパターンさに嫌気がさしていたのである。ビルを所有し、銀座にも上野にも […]
子どもたちが小学生のうちに、ぜひともマスターして欲しいのは、何かの楽器を演奏できるようになること。そして音符が読めるようになることだと思います。よく「ギターのコードなら分かるけど、音符は無理」という方がいらっしゃいますが、きっと音楽の時間に習ったはずだろうに、もったいないです。音符が読み書きできたら、作曲家への道も開けますからね(作詞家になるにも必須条件です)。 私たちが言葉を読み書 […]
夢から醒めたと言えばいいのか、私は結婚してから半年で夫に嫌気がさしていた。会社が休みの日は義母の待つ実家に入り浸り、一日中スポーツ番組を見ている。「どこか遊びにいきたい」とねだれば、茶箪笥のお財布から数千円を抜き出して、義父母、義兄一家、義姉一家、私たち夫婦で食べるケーキを近所まで買いに行く。夜は子どもたちがドタドタ走り回る茶の間で、みんなが一つの大皿をつつく食事をして、あくびが出る頃になるとやっ […]
逗子から横須賀線に乗って東京に向かうとき、武蔵小杉駅を過ぎると私はいつも右側の窓を注視する。西大井駅の手前で、20代前半のころに住んでいたマンションが見えるからだ。一瞬のことなので、スマホを向けてもボケた写真しか撮れないが、あの部屋には何代目の住人が住んでいるんだろう。 目黒で父と同居した半年後、新婚夫婦の私たちは大田区南馬込の新築マンションに越してきた。横を新幹線が走 […]
急ぎ過ぎた結婚は悔いを残す。3月に大学を卒業した私は5月に挙式。新居となる南馬込のマンションが完成するのは半年後なので、父が平日の宿泊に使っていた目黒のマンションを間借りすることになった。2DKの一部屋は私たち夫婦、もう一部屋は父が使うという奇妙な新婚生活の始まりである。 鎌倉市七里ガ浜にある実家に比べたら、マンションの部屋は都会サイズでとにかく狭い。キッチン道具や食器などは既に置い […]
女子大生のほとんどが在学中に婚約して、卒業したらすぐ結婚式。美智子様の出身校で知られるお嬢様大学は、私が通っていた当時、就職よりも結婚のプライオリティが高かった。卒業式には左手の薬指に宝石を輝かせ、家族と一緒に婚約者も同席するのが勝ち組だったのだ。 YEARBOOKという卒業アルバムに載る個人写真は、キャンパスのベストポイントを背景にカメラマンが時間をかけて撮影する。数が限られたアル […]